具体的な企業に対する「与信限度額」を提示(表示)するというサービスがある。しかしこういった指標の意味が全く理解できない。
与信限度額というのは、「相手の事情(財務など)」だけでなく、「自社の事情(財務や取引額など)」との兼ね合いで決めるべきものである。
相手の財務指標がわかっているからといって、それだけで「与信限度額」は算出できないはずだ。
そもそも与信限度額とは、誰に対する「限度」なのだろうか?
自社だ。自社がどれだけの与信リスクを負担できるかの限度が与信限度額だから、自社の事情抜きには与信限度額は絶対に算出できない。
財務優良の大企業にお勤めの読者の中には「いや、別に個々の与信審査で自社の資金繰りや財務はあんまり考えていないけどな」とお感じになっているとすれば、それは御社が恵まれている状況だからである。
財務優良の大企業や財閥系ならば、低金利で無尽蔵のファイナンスが可能だ。だから個々の与信案件が追加でどれだけの運転資金の負担を生じさせるかなどは考えなくていい。
それ以外の一般企業では自社の懐事情を抜きに「いくら与信を張れるか」は語れないし、そもそも与信判断において自社が追加で負担することになる資金コストなどを勘案するのが理論的にも正しい。
だから「与信限度額」を算出して提供サービスにおいては、少なくとも自社の純資産額や取引の想定月商などをインプットできる仕様になっていないとおかしい。
そういったインプットなしに算出される「与信限度額なるもの」は、いったい何を意味しているのか? 全く意味不明である。
与信限度額たりえないものを与信限度額と称して提供する姿勢には大きな違和感と危険性を感じざるを得ない。
会社を守る重要な役割を果たす与信限度額。与信管理業務の最も重要なプロセスである与信限度額の設定を、あまりに軽んじていないか?
H.Izumi
相関図を武器に、反社・マネロン・与信・不正に関するリスク調査を手掛けるアクティブ株式会社が、その知見を盛り込んだコンテンツのオンライン配信サービス『取引審査ビルドアップ講座』を創設しました。
反社チェック(コンプライアンス・チェック)、マネー・ロンダリング対策(AML)、与信管理(信用調査)、不正検知(違法キック・バック対策等)に従事する審査パーソンが強化すべき「相関図思考」と「コミュニケーション」を意識した動画コンテンツを会員限定の視聴サイトで配信していくサービスです。
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コンテンツ一覧(2024年5月13日更新)