有価証券報告書等への「継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン、GC)の注記」は「誰が」行うのか?
答え。それは、その会社の「経営者」である。
しかし、GC注記に関する集計調査やマスコミ報道を見ると、この事があまり理解されていないようだ。
特に、影響力の大きいマスコミ等が「監査法人がGC注記する」かのごとく報道・公表している。
これは、一般の方々の正常な認識に誤解を与えかねないし、そもそものディスクロージャー制度の意義がないがしろにされているように思える。
よって、誤解を正しておきたい。
といっても、そんな大ごとではなく、GC注記は誰が行うかを明確に示した以下の文章を示せば済む話だ。
■「継続企業の前提に関する開示について」(日本公認会士協会、平成14年11月、平成21年4月改正)。以下、引用する。
「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成する責任は経営者にある。したがって、経営者は、財務諸表の作成に当たり、継続企業の前提が適切であるかどうかを評価することが求められる。
また、経営者は、継続企業の前提に関する評価の結果、期末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であって、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、継続企業の前提に関する事項を財務諸表に注記することが必要となる。 」
以上の通り、ゴーイング・コンサーン注記というものは、投資家やステークホルダー保護のために、経営者自らの判断と責任で行うものなのだ。
これが、本筋の考え方であり、正論である。
これに対して「いやいや実態としては監査法人が付記させているでしょ」と感じている経営者がいるとしたら、それは、経営者の姿勢として間違っているといいたい。
そんな受け身な姿勢で情報開示に臨んでよいのだろうか?資金の出し手である投資家に対して、自社のリスクを自らの判断で開示していくのがディスクロージャの根本原則だ。
その原則を徹底せず「監査法人様が判断すること」と勘違いしている経営者に対しては、監査法人としてまずその経営者の姿勢を正していくべきだろうと思う。上場会社の経営者として不適格ですよと。
これは、投資家のみならず、我々のような調査会社やステークホルダーにとっても重要だ。
経営者の情報開示姿勢は、企業評価で重視されるべき項目だからだ。
もし、GC注記が「監査法人」に「つけられる」と認識しているような受け身な経営者がいたら『要注意』だ。
念のために繰り返したい。GC注記は、「経営者」が行うものである。
H.Izumi
相関図を武器に、反社・マネロン・与信・不正に関するリスク調査を手掛けるアクティブ株式会社が、その知見を盛り込んだコンテンツのオンライン配信サービス『取引審査ビルドアップ講座』を創設しました。
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コンテンツ一覧(2024年5月13日更新)