エセ人脈 反社チェックの人物見極めポイント


 人脈を誇張し、自慢し、自分を大きく見せようとする経営者は危ない経営者です。そのような特性を「エセ人脈」と呼びます。

 

「友達の数」=「人脈力」と考える「薄っぺらさ」に、持ち前の「わきの甘さ」が加わり、見境なく築いた交友関係の中に、反社会的勢力が紛れ込んでいるリスクがあります。要注意です。

 

 エセ人脈の具体的な特徴を幾つか列挙しておきましょう。

 

1.政治家や著名人との写真をひけらかす

 

 よく見られるのがSNSへの投稿です。「著名人と会食しました」「打ち合わせしました」といった日記をアップしている。

 また、面談のため事務所に行くと、社長の部屋に著名人との写真がこれ見よがしに飾ってあることがあります。

  自分が「スゴイ人脈を持っているんだぞ」と見せつけて、自分のペースに引き込もうとするんですね。騙されてはいけません。

 見せびらかしは、中身がない証拠ともいえます。自分や事業に自信がない証拠です。注意しましょう。

 筆者もある社長を訪ねた際、「外国の要人」とされる人物たちとの写真がたくさん飾ってありました。どこかのホテルで会談したり、握手した場面の写真です。そういった人脈と事業をするんだとアピールすること1時間。筆者の警戒心はマックスに。結局、後々、その社長は夜逃げをかましました。やはり怪しい人物だったのです。

 

2.繋がっている「人数」を自慢する

 

 SNSでつながるお友達の数に、ことさらにこだわる人。いますよね。

 それが人の力量であると勘違いしている。

 このような人物は、見境なく人とつながろうとする「わきの甘さ」を感じます。人脈はリスクなんだという認識に欠ける経営者はアブナイです。

 

3.安易に人の紹介を受け、人を紹介する。

 

 反社チェックもせずに、人を紹介するような経営者はアブナイです。

 飲み屋で名刺交換し、その後1回2回会った程度で、その人物を他の仲間に紹介する。紹介された仲間はたまったものではないですよね。

 詐欺師などと繋がりのある人物だったらどうするのですか?ちゃんと反社チェックしたのですか?

 人から紹介を受けたり、人に人を紹介する場合は、登場人物の反社チェックをすることはビジネスパーソンのマナーです。

 反社チェックなしに、安易に人とつながろうとする人物は、経営者としてわきが甘いといえます。

 

4.カネになれば何でも繋ぐ。ブローカー

 

 人脈はカネになる、人脈は力だ。一面あたっていますが、そこにはリスクがあります。

 人脈だけに頼ろうとしている経営者ほど、事業の中身がなかったり、競争力がない場合があります。

 マッチングだけでカネを稼いでいるようなブローカー的な経営者がよくいます。そのような人物は、見境なく人と繋がっている可能性がありますので注意が必要です。

 

5.接待・贈答でしか仕事を取れない。

 

 これはブローカ的な経営者の特徴です。とにかく飲み食い、贈答、プレゼント。これらで相手を抱き込もうとする。

 相手次第では贈賄という犯罪行為になります。

 中身がない、実力がないから接待贈答しかないんですね。

 手段を択ばずにに人脈を形成している可能性があるので、もしかすると贈収賄や脱税などで摘発されかねないアブナイ経営者かもしれません。

 

 

 エセ人脈がなぜ危ないか整理しましょう。

 

 第一に、見境なく人脈を築こうとする脇の甘さです。意図的に、あるいは知らずに暴力団関係者や詐欺グループに人脈がつながっているリスクがあります。

 

 第二に、事業の中身が空っぽで、単なるブローカーである可能性があります。そんな会社は、継続性に疑問符がつきます。いつ潰れるかわからないという意味でもアブナイということです。

 エセ人脈の雰囲気を感じた場合は、次のポイントで見極めましょう。

 

1.「大物」とつながる理由

 

 仕事を通じてか、交流会に参加してか、 地元や出身地が同じなのか、学校が同じなのか。あるいは夜の社交場やクラブなどに頻繁に繰り出して人脈を広げようとしているのか。

 政治家の資金パーティーなどに参加してツーショットの写真をとり、それをSNSにアップする。おれは政治家と仲がいいんだぞ。すごいんだぞ。と自慢する。

 本当に政治信条に基づいて政治家を応援しているなら別ですが、単にSNSのアップのために政治家さんを利用するような人物はアブナイ。

 なぜ大物と繋がっているのか、その理由を探ることがポイントです。

 

 

2.人脈の質です

 

 大物でも、詐欺師に広告塔に成り下がっている人物もいます。既に反社勢力に取り込まれてしまった大物です。

 ガラの悪い仲間とガラの悪い遊び方をしている経営者もいます。

 自慢している人脈を何人かピックアップしてネットで検索するだけでも、発見はあるはずです(嘘もありますが)。

 

3.経営者としてのガードが甘いか

 

 夜な夜な飲み歩く。まあ、それは良いとして、その飲み屋で初めてあった人物と、その場のノリですぐに意気投合してしまう。

 その写真をSNSにアップしてしまう社長は、脇が甘いです。

 そもそも、経営者であればガラの悪いやからが出入りするであろう場所にはいかないことが無難ですし、行ったとしても、このような軽率な行動は取るべきではないです。

 従業員の生活を守る立場にある社長ならばガードを固めるべきです。

 

 

4.コンプライアンス意識

 

 一般的な社会常識を備えているかどうかを感じ取ってください。

 会話や会食の中で、法律やルールの「抜け道」を探すのが好きそうだな、と感じれば要注意です。脱税の方法を常に探している、などです。

 裏技をつかうことが経営スキルだと思い込んでいる社長です。

 こういう人物は、脱税や補助金・助成金の不正受給をしているかもしれません。儲けになれば反社会的勢力とも平気で付き合う可能性があり、アブナイです。

 

 

5.中身がある人物か

 

 ひけらかしている人脈が、経歴や実績、現在の事業実態と釣り合っているかを感じ取ることです。人脈を自慢してきたら、飲み込まれないように「なんでオタクごときが、このような大物と繋がっているの?」と心の中で疑問を持つことが重要です。

 

 

 

 とにかく、自慢してくる人脈の広さ・華麗さに気後れしてはだめです。

 相手は自分のペースに引き込みたいだけなのです。自分をスゴイ人物だと錯覚させて有利に事を進めようとする。それに引っかかってはだめだということです。

 自分に自信を持ち、相手を冷静に見極める気構えを持ちましょう。

 

H.Izumi