日本より強烈な手形・小切手の不渡り制度(罰則)を敷いている国がある。
それがトルコだ。
不渡り罰則制度は日本や韓国など東アジアの制度であると思われがちであるが、それは大きな思い違いのようだ。
そんな思い違いをしていた人(私も含む)がトルコの強烈な不渡り罰則制度を聞けば、度肝を抜かすだろう。
トルコでは、約束手形(promissory notes)や先日付小切手(post-dated cheques)での決済が盛んである。手形や小切手は、譲渡可能で裏書され流通している。特に中小企業の決済の主流となっている。
不渡り(dishonoured)を出すと罰金が課されてしまう。
怖いのは罰金が支払われない場合は最大1,500日の「懲役刑」に刑罰を変更される可能性があることだ。
もちろん不渡りを出すと小切手口座の開設が禁止。10年間を経過すれば漸く禁止の取り消しを請求できる。
こうした罰則強化は2016年に行われた。厳しい罰則が付く手形・小切手だからこそ、与信管理する側からすれば、手形・小切手で回収したほうが良いと考える。
経済情勢が悪化すればするほど、皆、手形・先日付小切手で回収するようになる。実際、トルコ経済の悪化にともなって、手形・小切手での受け取りが増えているとも聞く。
日本は手形の流通が減っているが、それは経済が安定しているのも一因であろう。不況になれば、不渡り罰則のプレッシャー付きの回収手段である「手形」の決済が復活するかもしれない。
H.Izumi